Delfin Geweih
89 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2020/02/16(日) 07:54:55 ID:wthKQKxo0
90 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2020/02/16(日) 07:55:25 ID:wthKQKxo0
91 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2020/02/16(日) 07:56:11 ID:wthKQKxo0
~BAR~
\カラン…/
\カラン…/
( メ∀)y-~~
<ヽ`∀´> 「……」
( メ∀)φ
( メ∀)
( メ∀・)
( メ∀・) 「はじめてだぜ」
( メ∀・) 「ターゲットが死人、なんて仕事はよォ」
.
92 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2020/02/16(日) 07:57:39 ID:wthKQKxo0
<ヽ`∀´> 「聞く話と違うますニダ」
これは、頭ッから、疑ってかかるべきだった。
パスポートの持ってないアジア系民族には、ロクなのがいない。
<ヽ`∀´> 「アナタ、カネさえあれば、必ずや成し遂げるますニダ」
( メ∀・) 「ン? うん。」
( メ∀・) 「誰が言ったンだ、ンなこと」
俺様の根城に、黄色人種は不釣り合いだ。
最初によこしたアタッシュケースが重くなけりゃ、眼中にすら入れてない。
<ヽ`∀´> 「みんなさん、ウワサしたますニダ」
<ヽ`∀´> 「モラルァ、アナタ、コロシもハコビも一流、ニダ」
黄色人種のくせに、舌の巻き方がらしくない。
吸っている煙草も、前に取引したスパニッシュが持っていた銘柄だ。
<ヽ`∀´> 「ケースいっぱいの金と、ターゲットの写真」
<ヽ`∀´> 「このふたつで、コロシ、必ず殺す、そう聞くますニダ」
.
93 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2020/02/16(日) 07:58:15 ID:wthKQKxo0
( メ∀・) 「だから、誰に聞いたッてんだァ」
( メ∀・) 「あと俺様ン名はモララー、間違えるな、モララーだ」
<ヽ`∀´> 「シツモン、同時するとわかるないニダ」
( メ∀・) 「モ! ラ! ラァ!」
<ヽ`∀´> 「モラルァ」
愛銃の五十口径を引き抜いた。
チョンは大きくのけぞって、噛んでいた煙草を落とした。
<;ヽ゚Д´> 「ッ!!」
同時に、いやにアンティークな写真、の印刷物を、突き付ける。
俺様も身を乗り出し、引き気味なチョンを、隻眼いっぱいにおさめた。
( メ∀・) 「よおく聞きやがれチョン風情ッ!」
( メ∀・) 「たしかに、カネさえありゃあ、人間も大統領も、ゾンビまでなら殺してやる」
( メ∀・) 「だがなァ!」
.
94 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2020/02/16(日) 07:58:52 ID:wthKQKxo0
→ttps://i.imgur.com/U6ajZiy.jpg
( メ∀・) 「こんガキァお星さまだ!」
( メ∀・) 「とっくに殺されてンだよォ、20年前に、なァ!」
銃口をこめかみに突き付けられ、チョンは眼球を痙攣させた。
しかし、吐いた唾を拭おうという腹積もりは見受けられない。
見て呉れからして、国籍をもたない流浪人、スラムの民。
どこぞの誰かに雇われたのは、間違いないだろう。
俺様にコロシを依頼させるよう、命じられたのだ。
だから、詳細は知らないだろう。
もっというと、依頼人のことすら、知らない可能性もある。
<;ヽ゚∀´> 「わかるないニダ!」
<;ヽ゚∀´> 「話わかるないニダ!」
( メ∀・) 「あらためて、問おう」
( メ∀・) 「俺様にこォんな悪戯キメこみやがったのァ、どこのどいつだ?」
.
95 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2020/02/16(日) 07:59:27 ID:wthKQKxo0
<;ヽ゚∀´> 「わかるないニダ!」
<;ヽ゚∀´> 「ただ頼むされるだけニダ!」
興醒めだ。
俺様の根城までやってきたことによるポイントは、失効された。
( メ∀・) 「よォしイイ子だ、キャンディをやろう」
<;ヽ゚∀´> 「わかるないニダ!」
<;ヽ゚∀´> 「頼むされるだけニダ!」
このバーで許されるのは、酒とカネと、お利口な取引だけだ。
ひとつ付け足すならば、この俺様の、銃弾。
マスターへの便宜と引き換えに許された、甘美な飴玉だ。
<;ヽ゚∀´> 「このメスガキ、コロシ依頼する、頼むされたニダ!」
<;ヽ゚∀´> 「アナタ怒る、なぜわかるないニダ!」
( メ∀・) 「だァーかァーらァー」
.
96 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2020/02/16(日) 08:00:01 ID:wthKQKxo0
( メ∀・) 「こンのガキァ、20年前に、死んでンだよ!」
もっと言うと、写真からアンティークを感じた時点で、察するべきだ。
おつむのなってない猿は、その程度の理解すらなってないらしい。
<;ヽ゚∀´> 「わかるないニダ!」
<;ヽ゚∀´> 「アナタ、メスガキ殺すない、ワタシ殺す、わかるないニダ!」
( メ∀・) 「俺様ァ、イエロォモンキーとキリストと、冷やかしが大ッ嫌いなんだ」
俺様は、信頼のできる、お利口さんとの取引に、限らせてもらっている。
最近、確かにカネが舞い込まず暇だったが、だからといって火遊びはしない。
俺様は、ストイックなお利口さんなのだ。
<;ヽ゚∀´> 「メスガキ殺すないニダ!?」
<;ヽ゚∀´> 「カネある、アナタエリート、なぜわかるないニダ!」
俺様は、エリート、か。
1ポイントだけ、付与してやろう。
キャンペーン中なのだ。
.
97 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2020/02/16(日) 08:00:52 ID:wthKQKxo0
( メ∀・) 「よォしイイ子だ」
( メ∀・) 「時にあんた……こめかみのアイスィーング……どんな気分だ?」
と、銃口を、ぐいぐい押しつける。
穢れた汗が垂れてきている。
ちょうどいい機会だ、次のメンテナンスは念入りにしよう。
<;ヽ゚∀´> 「……冷たいですニダ」
生まれて初めて、まともな言葉のキャッチボールができたな。
ご褒美だ。
冥土の土産を、プレゼントフォーユー。
( メ∀・) 「冷たいか、冷たいだろォ?」
( メ∀・) 「こいつァ、ミリタリーコンツェルン、D-bond社の傑作」
( メ∀・) 「Delfin Geweihの、五十口径さ」
引き鉄を軽く引く。
キリキリ、とかすかに鳴る音で、チョンの鼓膜を傷つける。
.
98 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2020/02/16(日) 08:02:03 ID:wthKQKxo0
<;ヽ゚∀´> 「ディーボォーン?」
( メ∀・) 「…飽きれたぜ」
ターゲットの前情報はおろか、教養すら、なってないようだ。
第二次を枢軸国軍の勝利に導いた、ミリタリーの雄、D-bond社。
暗殺騒動がなければ、いまも、世界に誇る大企業だったろう。
( メ∀・) 「結論から、言おう」
( メ∀・) 「このガキァ、D-bond社、創設者の、孫娘だ」
( メ∀・) 「第二次の渦中で誘拐され、ラブドールのまま、殺されたンだよ」
<;ヽ゚∀´> 「教えるされるないニダ!」
<;ヽ゚∀´> 「アイドンノォ!」
俺様の愛銃 『Delfin Geweif .50AE』 を筆頭に、
歴史に名を連ねるさまざまな作品を、世に解き放った。
無論その裏で踊るのは、暗殺の二文字だ。
両手では数えきれないほどに、D-bond社は、多くの因縁と付き合っていた。
往年の創設者は、死神とフォークダンスを踊っていたと聞く。
.
99 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2020/02/16(日) 08:02:40 ID:wthKQKxo0
アンティークな写真を丸テーブルに叩きつけ、ジタンを噛み火をつける。
チョンはけむに巻かれたような顔をしている。
その顔に、紫煙を。
<;ヽ゚Д´> 「 ゲ ヘェン! 」
チョンらしい、ヘンテコな声で咳き込む。
全身の緊張も、解けてきたようだ。
( メ∀・) 「 ……さて。」
( メ∀・) 「ボーイ、あんたの命運は、みっつに一つだ」
指を、一本。
( メ∀・) 「手前の命を、このカネで、買う」
指を、二本。
( メ∀・) 「手前の命を、あんたの依頼人で、買う」
指を、三本。
( メ∀・) 「ここで死ぬ」
.
100 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2020/02/16(日) 08:03:16 ID:wthKQKxo0
< ヽ゚Д::> ,:: ;’::
( メ∀・)
銃口の逆側から突っ込んできた弾丸に、
チョンは、頭の右半分を派手に散らかした。
( メ∀・)
( メ∀・) 「…」
( メ∀・) 「やっちまったなァ、あんた」
視線を、扉のほうに向ける。
暗がりから、ボロ衣と、チョンを葬った銃口が見えた。
体勢からして、しゃがんでいるようにうかがえる。
(:::゚:::゚)
( メ∀・) 「へい、ボーイ」
( メ∀・) 「ここは、三つの取り決めがある」
.
101 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2020/02/16(日) 08:03:43 ID:wthKQKxo0
( メ∀・) 「ひとォつ、酒を飲むこと」
( メ∀・) 「ふたァつ、カネを持っていること」
( メ∀・) 「みィッつ、お利口な取引を心がけること」
愛銃をゆっくり、そちらに向ける。
ボロ衣と、やぼったい前髪から覗く瞳に、だ。
( メ∀・) 「 ここでの弾丸は、ルール違反さ」
( メ∀・) 「ひとつだけ俺様の質問に、答えな。」
しゃがんでいたボロ衣は、立ち上がった。
( メ∀・) 「こいつの飼い主は、あんたか?」
(:::゚:::゚)
( メ∀・) 「…」
.
102 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2020/02/16(日) 08:04:10 ID:wthKQKxo0
静寂。
銃口を向けたまま、ボロ衣を、見やる。
スラム街にふさわしい見て呉れだ。
ずいぶんと体躯が小さい。
骨と皮だけで、肉が足りてない可能性が高い。
ボロ衣の得物は、銃口からして、大型のハンドガン。
ちいさな身体が操るには、実に不釣り合いだ。
さっきの発砲も、しゃがんで、銃を固定させて撃ったのか。
(:::゚:::゚)
( メ∀・) 「…」
ボロ衣のフードから見える顔は、やぼったく長い前髪で隠れている。
その向こうから刺さる視線は、俺様の手元、
愛銃、Delfin Geweihに向けられている。
(:::゚:::゚)
( メ∀・) 「…」
.
103 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2020/02/16(日) 08:04:42 ID:wthKQKxo0
(:::゚:::゚)
(:::゚:::゚) 「ユニコーン」
( メ∀・) 「…?」
ボロ衣が、言葉を発した。
かすれた、穢れた声だが、意外にも、か細かった。
ボロ衣は銃口をおろし、階段を、下りてくる。
愛銃の銃口に、まったく気圧される様子がうかがえない。
(:::゚:::゚) 「もしかして…それ…」
(:::゚:::゚) 「ユニコーン…じゃないのかい…?」
( メ∀・) 「ッ」
( メ∀・) 「…ッ。」
Delfin Geweihの、異名。
イルカの角、と名付けられたその型番は、
文字通り、ユニコーンから着想を得ている。
どうして、そこまでわかる。
虚を衝かれた。
ボロ衣に向けていた殺意が、その瞬間だけ、完全に失せた。
ジタンの燃え尽きた灰が、重力に従って、くずおれる。
.
104 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2020/02/16(日) 08:05:10 ID:wthKQKxo0
(:::゚:::゚) 「………」
(:::゚:::゚) 「取引が…あるんだ」
( メ∀・) 「ッ」
その、俺様の殺意が失せていた瞬間に、ボロ衣が、肉薄していた。
裸電球以外明かりのない暗い室内で、瞳が何色か、わかるほどにまで。
同時に、わかった。
ボロ衣からチラリと見えた、奴の握っている、銃。
Delfin Geweih。
愛銃と同じものだ。
(:::゚:::゚) 「キミは…コロシもハコビも…受けるんだね?」
(:::゚:::゚) 「カネ…さえ…あれば。」
( メ∀・) 「……なに?」
そして、その距離にまでなってはじめて、わかった。
声から判断はしづらかったが、確信した。
ボロ衣の中身は、オンナだ。
.
105 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2020/02/16(日) 08:05:45 ID:wthKQKxo0
(:::゚:::゚) 「…探していたんだ」
、、 、、 、、
(:::゚:::゚) 「ディーボンドを…知る人を…」
(:::゚:::゚) 「スラム中を…探し回った…」
俺様は、くずおれたチョンの亡骸に、視線をやった。
身なりに似合わない、大金。
教養に見合わない、取引。
そして、俺様の愛銃に気圧されない、度胸。
暗がりのなか、遠目からでも、愛銃がD-bond製と見抜く知識。
何一つ話は見えてこないが、ひとつ、わかったことがある。
( メ∀・) 「…」
( メ∀・) 「オーケー、ガール」
( メ∀・) 「引き受けてやろう」
(:::゚:::゚) 「…へ」
チョンが持ってきたアタッシュケースの、
その本当の持ち主は、このオンナだろう。
お利口な取引ができるなら、依頼人が誰であっても、
背景のまったく見えない内容でも、なんでも。
俺様は構わなかった。
.
106 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2020/02/16(日) 08:06:12 ID:wthKQKxo0
(:::゚:::゚) 「な…」
(:::゚:::゚) 「なにも…聞かないのかい…?」
( メ∀・) 「なにもッてェ?」
アタッシュケースに、手をかける。
直前の俺様の言葉もあってか、オンナは、それを止めない。
(:::゚:::゚) 「い…いや…」
(:::゚:::゚) 「ずいぶんと…物わかりがいい…というか…」
( メ∀・) 「アレッ?」
( メ∀・) 「俺様のこと、下調べ、してなかったンだ」
( メ∀・) 「減点だぜ、あんた」
(:::゚:::゚) 「え…」
( メ∀・) 「カネと、依頼内容」
( メ∀・) 「お利口な取引に必要なのは、このふたつだけだ」
( メ∀・) 「 要件を聴こう」
.
107 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2020/02/16(日) 08:06:48 ID:wthKQKxo0
(:::゚:::゚) 「…え…」
(:::゚:::゚) 「…えっと」
( メ∀・) 「コロシとハコビ、どっちだ?」
(:::゚:::゚) 「…」
ジタンを二本目、くわえる。
黒ずんだジッポが、いい音をたてやがる。
(:::゚:::゚) 「…」
(:::゚:::゚) 「ハコ…ビ」
( メ∀・) 「オーケー、何を、どこまで?」
(:::゚:::゚) 「ボクを…」
オンナが大きく一歩、俺様に詰め寄る。
手を伸ばせば届く距離だ。
動いた弾みか、フードよろしく頭にかぶっていたボロ衣が、ずれ落ちる。
やぼったく伸びた髪は、ブロンズだった。
.
108 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2020/02/16(日) 08:07:26 ID:wthKQKxo0
(,,゚-゚) 「ボクを…どこか。」
(,,゚-゚) 「…どこか、平和な、ところへ。」
( メ∀・) 「…ッ」
咄嗟に、卓上のアンティークに、視線を向けた。
古びた写真の、印刷物だ。
何度も何度も印刷されてきたものだろう、インクが、ずれてやがる。
→ttps://i.imgur.com/U6ajZiy.jpg
( メ∀・)
( メ∀・) 「…………」
(,,゚-゚) 「その写真だけど…」
(,,゚-゚) 「さっきの…キミの話には…続きがある」
(,,゚-゚) 「その女性は…裏取引の最中に…」
(,,゚-゚) 「ソ連のカルテルのボスの子を…孕んだ」
.
109 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2020/02/16(日) 08:08:07 ID:wthKQKxo0
( メ∀・) 「!」
(,,゚-゚) 「衰弱した女性は…」
(,,゚-゚) 「死を予知して…わが身より…腹の子に栄養を…やった」
(,,゚-゚) 「生まれたのが…ボクだ」
、 、 、 、 、 、 、
(,,゚-゚) 「その写真の意味を知る人を…ずっと、探していた」
面影があった。
D-bond社の歴史まで知る者は、このスラムには、少ないかもしれない。
だが、俺様の脳裏をかすめるものが、あった。
創設者の孫、社名をとってDと呼ばれていたその孫。
目の前のオンナと、似ている。
(,,゚-゚) 「…」
(,,゚-゚) 「ちなみに…どうしてその女性を知っていたんだい?」
( メ∀・) 「 ン…」
.
110 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2020/02/16(日) 08:08:47 ID:wthKQKxo0
(,,゚-゚) 「ヤ…これはただの興味…だよ」
(,,゚-゚) 「物好き…だなあ…って…」
( メ∀・) 「…」
愛銃を、握りしめた。
俺様の興味は、孫娘なんかより、こっちにあるのだ。
( メ∀・) 「…」
( メ∀・) 「市場競争に負けていた、黎明期のD-bond社だが、な」
( メ∀・) 「当時の銃を見たこのガキが、生意気にも、言ったンだと」
( メ∀‐) 「銃口を大きくすれば、より強い弾丸が撃てる、と」
( メ∀‐) 「簡単に言ってくれるなあ、ッて、思うだろ?」
(,,゚-゚) 「…」
( メ∀‐) 「でもな、そこから、」
ハンドガンとしては異例の、五十口径。
さながら、マリーアントワネットの戯言だ。
だが、その戯言がきっかけで。
( メ∀・) 「Delfin Geweihが生まれた」
.
111 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2020/02/16(日) 08:09:12 ID:wthKQKxo0
( メ∀・) 「俺様の愛銃の、いわば生みの親だ」
( メ∀・) 「チョイと興味があったんでね、調べたまでよ」
(,,゚-゚) 「…」
( メ∀・) 「…質問は、交代制だ。」
( メ∀・) 「D-bondと争っていた、ソ連の兵器カルテル Silberiaだな。」
( メ∀‐) 「 そんな、トンでもねえ血を継ぐアンタが、」
( メ∀・) 「どォして、こんなとこに、いやがる?」
(,,゚-゚) 「…」
(,,゚-゚) 「…追われているんだ」
(,,゚-゚) 「ディーボンドの残党と シルベリアの 両方に 」
(,,゚-゚) 「彼らにとって…ボクは…両社の汚点だ」
(,,゚-゚) 「なんせ、ディーボンド社長の孫娘と、ギコルフスキーの、子だから。」
.
112 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2020/02/16(日) 08:09:43 ID:wthKQKxo0
Silberia社もまた、世界大戦でたびたび名を轟かせた。
D-bond社が、抗争の末暗殺され、崩壊したのとは裏腹に、
Silberia社の創設者、ギコルフスキーは今や、表でも裏でも、重役である。
兵器カルテルは得てして、裏社会にも精通している。
融通するギャングから、管轄する縄張りから、政治家との隠密から。
しかし驚いた。
ギコルフスキーじきじきの血を継いでいるのか。
これは、トンでもない依頼になっちまったかもしれない。
( メ∀・) 「…なるほどなァ」
(,,゚-゚) 「ユニコーンの使い手なら…依頼できる。」
(,,゚-゚) 「…にしても…」
(,,゚-゚) 「よく…そいつを…片手で使えるね」
( メ∀・) 「ン? 気になるかい?」
( メ∀・) 「企業努力 ッてやつさ」
.
113 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2020/02/16(日) 08:10:39 ID:wthKQKxo0
もう話もいいだろう。
依頼は、お利口に、スマートに、だ。
アタッシュケースを、バーカウンターの向こうに放り投げる。
このバーは、俺様の銀行でもある。
マスターが多少シッケイした上で、預かっておいてくれるだろう。
マスターは、裏で、いびきでもかいているに違いない。
このケースは、酒代、修繕費込みだ。
丁重に扱え。
( メ∀・) 「察するに、クソめんどくせーカルテルが、二社も相手なワケだ」
( メ∀・) 「スマートにいこうぜェ、お嬢さん」
なんであっても、要はただのハコビだ。
コロシよかよっぽどイージーだ。
たまの依頼、さっさと終わらせて、さっさと愛銃を手入れしよう。
(,,゚-゚) 「え…」
(,,゚-゚) 「…も、もう行くの?」
( メ∀・) 「チッ」
.
114 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2020/02/16(日) 08:11:21 ID:wthKQKxo0
スマートに、と言ってンだ。
必要な情報はそろった、無駄口を叩く時間はない。
のん気に突っ立っているオンナを片手で担ぎ上げた。
随分と軽い。
ボロ衣がはだけ、もがきやがる。
( メ∀・) 「ハコビの基本は、迅速に、スマートに、だぜ」
(*;,゚-゚) 「 待っ 」
( メ∀・) 「荷物が俺様の仕事をジャマすんじゃねえ 」
バーの階段を上る。
腐った木製の扉が、見えてきた。
( メ∀・) 「 」
( ;メ∀・) 「 ほうら。」
.
115 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2020/02/16(日) 08:11:43 ID:wthKQKxo0
すると、扉がオートで開かれた。
これが、自動ドアに設備投資したマスターの計らいなら、どれだけよかったか。
|::━◎┥rt━
|::━◎┥rt━
|::━◎┥rt━
(*;,゚-゚)
(lli,,゚-゚) 「 ッ 」
仮面をかぶり、武装した三人組は、
皆揃って、同じ、写真を印刷された紙を持っていた。
.
116 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2020/02/16(日) 08:12:15 ID:wthKQKxo0
_,
( ;メ∀・) 「 チィ! 」
(lli,,゚-゚) 「 きゃッ 」
荷物を階段の下に放り投げた。
空いたその手を、懐に突っ込む。
_,
( ;メ∀・) 「 まごまごしてたらコレだァ!」
武装が、容赦なく引き鉄を引く。
転がりながら、Delfin Geweihを、二挺。
腐った扉の裏に、隠れる。
しかし、これに防弾のボの字も期待はできない。
壊れる寸前に、そいつを蹴飛ばして、武装のうち一人の視界を奪った。
|::━◎┥rt━
|::━◎┥rt━
( ;メ∀・) 「 どらアッ!!」
.
117 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2020/02/16(日) 08:12:36 ID:wthKQKxo0
’ ・
| ;:: ┥
,
・, ◎
|‘ ::. ┥
Delfin Geweihの五十口径は、戦車の装甲すら貫く。
薄っぺらい仮面程度じゃ、こいつの牙、
、
いや、角は、決して防げない。
|::━◎┥rt━ 「!」
( ;メ∀・) 「イエスにヨロシク言ってきなァ!!」
・ :.,
’::. ;◎ ::|
最後の一人もぶっ飛ばし、ようやく、情けなく垂れてきた汗を、拭った。
ふう、と一息つきながら周囲を見渡すが、
やはり、腐敗臭のする、くだらねえスラム街の、見慣れた景色だ。
.
118 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2020/02/16(日) 08:13:42 ID:wthKQKxo0
\ひょこッ/
(lli,,゚-゚) 「 モラルァ?」
(*;,゚-゚) 「 キャッ! だから!」
荒事が済んだ瞬間に、都合よく、荷物が駆け寄ってきた。
問答無用で荷物を担ぎ上げ、走り出す。
近くのマンホールから、下水管経由で、最寄りの海に向かおう。
( メ∀・) 「ひとつオボえてやがれッ 」
ホライゾンの奴をたたき起こして、札を握らせて、舵を取らせるか。
とりあえずは、一旦、この街から離れたい。
どうやら、追っ手が、想像以上にすぐそこまで迫っているようだから。
( メ∀・) 「俺様はモララーッ!」
( メ∀・) 「イエローモンキーとキリストと、ぺちゃくちゃしゃべる荷物が大ッ嫌いな男だ!」
(*;,゚-゚) 「モラルァ!止まって!」
( メ∀・) 「モララーだ! モ!ラ!ラァ!」
これは、頭ッから、疑ってかかるべきだったんだ。
俺様の名前を巻く人間に、ロクな人間などいるわけがない、と。
.
119 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2020/02/16(日) 08:14:34 ID:wthKQKxo0
タイトル Delfin Geweih
イラスト >>35 (#゚;;-゚)
ジャンプの読み切りみたいな感じで書いたけど特に続ける予定はない
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